共振回路の設計と解析
概要
共振回路は、特定の周波数でインピーダンスが最小または最大になる特性を持つ回路です。この周波数を共振周波数と呼びます。共振回路は、フィルタや発振器、チューナーなど、さまざまな用途に利用されます。本節では、直列共振回路と並列共振回路の設計と解析について詳しく説明します。
直列共振回路
基本構成
直列共振回路は、インダクタ(L)、キャパシタ(C)、および抵抗(R)が直列に接続された回路です。
共振周波数
共振周波数 ω0 は次の式で求められます:
ω0 = \(\frac{1}{\sqrt{LC}}\)
インピーダンス
直列共振回路のインピーダンスは次のように表されます:
Z(jω) = R + jωL + \(\frac{1}{jωC}\)
共振周波数でのインピーダンスは最小となり、次のようになります:
Z(jω0) = R
並列共振回路
基本構成
並列共振回路は、インダクタ(L)、キャパシタ(C)、および抵抗(R)が並列に接続された回路です。
共振周波数
共振周波数 ω0 は直列共振回路と同様に次の式で求められます:
ω0 = \(\frac{1}{\sqrt{LC}}\)
アドミタンス
並列共振回路のアドミタンス(インピーダンスの逆数)は次のように表されます:
Y(jω) = \(\frac{1}{R}\) + jωC + \(\frac{1}{jωL}\)
共振周波数でのアドミタンスは最小となり、次のようになります:
Y(jω0) = \(\frac{1}{R}\)
共振回路の解析
周波数応答の解析
共振回路の周波数応答は、共振周波数を中心に大きな変化を示します。直列共振回路の場合、共振周波数で電流が最大となり、並列共振回路の場合、共振周波数で電圧が最大となります。
品質係数(Q値)
品質係数(Q)は、共振回路の鋭さを表す指標であり、次の式で定義されます:
- 直列共振回路:Q = \(\frac{\omega;0 L}{R}\)
- 並列共振回路:Q = \(\frac{R}{\omega;0 L}\)
具体的な設計例
直列共振回路の設計
設計例:共振周波数が1MHz、抵抗が10Ω、インダクタンスが100μHの直列共振回路を設計します。
- 共振周波数の計算:
\(\omega;0 = 2\pi \times 10^6 = \frac{1}{\sqrt{LC}}\) - キャパシタンスの計算:
C = \(\frac{1}{\omega;0^2 L}\) = \(\frac{1}{(2\pi \times 10^6)^2 \times 100 \times 10^{-6}}\) F - 品質係数の計算:
Q = \(\frac{\omega;0 L}{R}\) = \(\frac{2\pi \times 10^6 \times 100 \times 10^{-6}}{10}\)
並列共振回路の設計
設計例:共振周波数が500kHz、抵抗が50Ω、キャパシタンスが200pFの並列共振回路を設計します。
- 共振周波数の計算:
\(\omega;0 = 2\pi \times 500 \times 10^3 = \frac{1}{\sqrt{LC}}\) - インダクタンスの計算:
L = \(\frac{1}{\omega;0^2 C}\) = \(\frac{1}{(2\pi \times 500 \times 10^3)^2 \times 200 \times 10^{-12}}\) H - 品質係数の計算:
Q = \(\frac{R}{\omega;0 L}\) = \(\frac{50}{2\pi \times 500 \times 10^3 \times L}\)